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引用:BMC Infect Dis. 2020 Jun 1;20(1):389.
Corynebacterium striatumは、好気性のグラム陽性桿菌である。皮膚や粘膜上皮の常在細菌叢の一般的な細菌である[1][2]。1980年に白血病患者の呼吸器感染症の原因菌として発見された[2]。菌血症、中心静脈カテーテル感染、心内膜炎の起因菌として報告がある。近年は、呼吸器感染症、創部感染症、デバイス感染症、尿路感染症の起因菌としての報告があり、ほか、骨髄炎、髄膜炎、敗血症性関節炎の症例報告もある [1][2][3]。
この菌は厄介で、抗菌薬治療に耐性を示していることが多い。病原性はないと考えられることもある。しかし、最近は感染症の報告がふえてきた。心内膜炎や骨髄炎で生命の危機に陥る症例もあるようだ。「羊の毛を被った狼」とも言われている[4]。弁置換や中心静脈カテーテルの抜去など、ソースコントロールを必要とすることが多い。あるいはグラム陽性球菌への活性を示す抗菌薬の延長投与が必要となる。多剤耐性病原体であり、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシン、メロペネム、テトラサイクリン、クリンダマイシンに対しては耐性である[1]。gyrA遺伝子変異があり、シプロフロキサシンやレボフロキサシンには、MICが高くなって耐性を示すらしい[4]。バンコマイシンは唯一抗菌活性が証明された抗菌薬である。リネゾリドやダプトマイシンでも治療が可能であるとする報告もある。リネゾリドは高価であり、かつ好中球減少や薬物相互作用が問題となる。副作用の点ではダプトマイシンが適しているが、延長投与では耐性菌の出現より治療失敗となる例があるようだ[1]。テレバンシンという薬も効果を示すようだが、日本では販売されていない。
<参考文献>
[1] Antimicrob Agents Chemother. 2017 Oct 24;61(11):e01111-17.
[2] J Infect Dev Ctries. 2018 Jul 31;12(7):581-586.
[3] BMJ Case Rep. 2016 Sep 23;2016:bcr2016216914.
[4] 2021 Mar 16;24:e01070. doi: 10.1016/j.idcr.2021.e01070.
文責:チーフレジデント Yo Ishihara
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