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2025.02.28ブログ

May Hegglin異常症の症状

May Hegglin異常症の発症頻度は10万人に1人程度と考えられていますが、原因遺伝子MYH9の異常がわかったのもまだ最近であり難治性ITPの中に含まれている可能性は高く、先天性血小板減少症をまとめた調査ではその30%を占める疾患です。

症状は血小板数が5万/μL前後であることから普段の生活では無症状のことが多いですが、手術や出産の際に問題となります。血小板異常以外にアルポート症状(腎炎、難聴、白内障)を合併することがあります。腎炎の病態は糸球体上皮細胞障害による巣状分節性糸球体硬化症であり、蛋白尿が主体である。難聴は、両側性の高音性感音性難聴パターンを呈します。なお、感音性難聴、眼症状を伴う遺伝性の進行性腎炎としてアルポート(Alport)症候群がありますが、こちらの原因遺伝子も判明しておりこれはIV型コラーゲンの異常を原因とする糸球体基底膜疾患で、血尿を主体とするので、同一類縁疾患ではありませんので注意する必要があります。

血液学的異常は生涯変わりませんが、手術などにおいては血小板輸血にて対処が可能ですし、エルトロンボパグ、デスモプレッシンも効果があるとされます。しかしアルポート症状は進行性であり予後に最も影響します。アルポート症状は、幼少期には認められなくても学童期以降に出現することがあり、腎炎、聴力障害、白内障の進行など全身的なフォローは内科医がおこなっていく必要のある分野です。また若年性の白内障、あるいは若年性の感音性難聴がある場合にも本疾患を想定できる内科医となりたいものです。

田中江里

参考文献:小児慢性特定疾病情報センター
Gene Reviews Japan  MYH9関連疾患

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